先輩から逃げる方法を探しています。
先輩は私が言った「喧嘩はしないでください」ということを約束として守ってくれた。
それなのに私は先輩に連絡をしてあげれなかった。
そう思うと、とてつもなく申し訳ないという感情が湧き出てくる。
「先輩、すみません」
「え?なんで謝るの?」
「先輩は喧嘩をしないでくれたのに…私は連絡をしませんでした。だから…」
「あははっ…本当に翼ちゃんは真面目で良い子だよねぇ。謝らなくていいのに~さっきのも少しからかっただけで気にしてないよ」
「でも……辛かったんじゃないですか?」
嫌な気持ちを発散出来ずにずっと溜め込んだまま過ごしたというわけだ。
辛かったに決まっている。
「…ぜーんぜん。辛くなんてなかったよ。だから気にしないで」
「本当ですか?」
「ほんとほんと~。翼ちゃん気にするなんて良い子すぎ」
そう言って笑ってはいるけど、きっとそれは嘘だ。
先輩が私の感情を見抜いてしまうように、私だって先輩のことは少しはわかってきている。
多分、私がこれ以上気にしないようにしてくれているのだろう。
「……先輩は優しすぎます」
「ん?ごめん、聞こえなかった。何か言った?」
「いえ」
なぜか胸がきゅっと締め付けられるような感情を覚えた。
辛いのは先輩なのに、どうして私がこんな気持ちになってるんだろう…。