先輩から逃げる方法を探しています。


この気持ちの答えがわからない。

自分は約束を守れなかった罪悪感…?

少し違う気もするけど、これが一番近いのかもしれない。


「先輩、私に何かして欲しいことはありませんか?」

「して欲しいこと〜?もしかしてお詫び的な?」

「まぁ…そんな感じでしょうか」

「お詫びなんていらないのになぁ」


そう言われてしまったけど何かしないと引けない。

じゃないとこの気持ちは少しも晴れそうな気がしない。

どうすれば先輩の…


「でもご褒美ならもらっちゃおっかな」

「ご褒美…ではそれで。何かありませんか?」

「そりゃあご褒美と言えばさ〜」


先輩は少し右側を向くと、その角度のままじっと固まった。

私は全くわけがわからず何も言わずに見ていると、次は此方に向けている左の頬をつつく。

左の頬……ご褒美………っ…!!

先輩の行動の意味がわかり、体育祭の日のことを思い出す。

体温がみるみる熱くなっていくのを感じた。


「あっあげませんよ!?駄目です!!」

「…えー?ご褒美なのに?」

「それはご褒美なんかじゃありません!!」

「俺からすればなによりものご褒美なんだけどなぁ」


やっぱり先輩は優しくない。

すぐからかってくるし…。

深呼吸をし、ドキドキとなる鼓動を静ませる。


「もういいです。飴にします」

「あー待って待って。真面目に答えるから」

「…わかりました。何ですか?」

「俺とデートして。駄目?」

「デート、ですか?駄目です」

「えっ即答?」


先輩はなんでデートなんていうんだろう。

デートは恋人同士がするものなのに。

私と先輩はまだ付き合ってない。

ってまだって何思ってるんだろう、私は……。


「えっと、お出掛けならいいですけど」

「お出掛け?それって結局デートなんじゃ…」

「どうしてですか?先輩とは付き合っていませんし」

「……なるほど。わかった。お出掛けね、お出掛け。翼ちゃんとお出掛けすっごく楽しみ〜」


こうしてご褒美として先輩とお出掛けが決まった。

これがご褒美になるのかはわからないけど、先輩がして欲しいことならいいのかな。


< 128 / 148 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop