先輩から逃げる方法を探しています。
この気持ちの答えがわからない。
自分は約束を守れなかった罪悪感…?
少し違う気もするけど、これが一番近いのかもしれない。
「先輩、私に何かして欲しいことはありませんか?」
「して欲しいこと〜?もしかしてお詫び的な?」
「まぁ…そんな感じでしょうか」
「お詫びなんていらないのになぁ」
そう言われてしまったけど何かしないと引けない。
じゃないとこの気持ちは少しも晴れそうな気がしない。
どうすれば先輩の…
「でもご褒美ならもらっちゃおっかな」
「ご褒美…ではそれで。何かありませんか?」
「そりゃあご褒美と言えばさ〜」
先輩は少し右側を向くと、その角度のままじっと固まった。
私は全くわけがわからず何も言わずに見ていると、次は此方に向けている左の頬をつつく。
左の頬……ご褒美………っ…!!
先輩の行動の意味がわかり、体育祭の日のことを思い出す。
体温がみるみる熱くなっていくのを感じた。
「あっあげませんよ!?駄目です!!」
「…えー?ご褒美なのに?」
「それはご褒美なんかじゃありません!!」
「俺からすればなによりものご褒美なんだけどなぁ」
やっぱり先輩は優しくない。
すぐからかってくるし…。
深呼吸をし、ドキドキとなる鼓動を静ませる。
「もういいです。飴にします」
「あー待って待って。真面目に答えるから」
「…わかりました。何ですか?」
「俺とデートして。駄目?」
「デート、ですか?駄目です」
「えっ即答?」
先輩はなんでデートなんていうんだろう。
デートは恋人同士がするものなのに。
私と先輩はまだ付き合ってない。
ってまだって何思ってるんだろう、私は……。
「えっと、お出掛けならいいですけど」
「お出掛け?それって結局デートなんじゃ…」
「どうしてですか?先輩とは付き合っていませんし」
「……なるほど。わかった。お出掛けね、お出掛け。翼ちゃんとお出掛けすっごく楽しみ〜」
こうしてご褒美として先輩とお出掛けが決まった。
これがご褒美になるのかはわからないけど、先輩がして欲しいことならいいのかな。