先輩から逃げる方法を探しています。
お出掛け当日。
集合場所の駅へと着くと既に先輩の姿が見えた。
時間を確認してみるとまだ10分前。
ギリギリか遅刻をしてくるだろうと予想していたから驚きだ。
「すみません。お待たせしました」
「全然〜。それにまだ10分前だしねぇ」
先輩は財布から小さな長方形の紙を2枚取り出すと此方へと差し出した。
「これは?」
「切符だよ。もしかして翼ちゃん電車乗ったことない?」
「いえ。切符も知っていますし、乗ったこともありますが…」
まさか先輩の財布から出てくるとは思わなかった。
そういえばどこに行って何をするのかを聞いていない。
駅に集合だと聞いたから少し遠出するんだろうなとは思っていたけど。
「とりあえずお金払いますね」
「いらないよ。俺が誘ったんだし」
「そういうわけには…あ。では帰りは私が先輩の分も払いますね」
「そう言うと思ったんだよねぇ」
また財布から小さな長方形の紙を2枚取り出し、私に見せる。
もう帰りの分まで買ってるなんて。
これは別の場所で先輩の分も払うしか…
「ほら翼ちゃん、行くよ。電車に乗り遅れちゃう」
「あ、はい。ありがとうございます」
先輩の後を追い、改札を抜けた。