日だまりの雨
昼休み。



いつもの他愛ないお喋りをする友達の輪から抜け出し、




わたしは早足で裏庭に向かった。




はぁ……。

今日は陽光くんのバスケ姿が見れないな。




なんてため息をつきながら、一階の廊下を横切っていたら、




「あっ……」





いつもの場所に彼は、いつものように座り込んでいた。




雨音との関係、出来れば知られたくない。




元々人気は無いけど、更に人気が無いことを確認してわたしは、




「よっと!」




窓を乗り越え、雨音の座る隣へ着地した。




突然、頭上から現れたわたしに、




「……ビックリした」




雨音は眼鏡の奥の瞳を丸くさせて驚いている。




「近道近道っ」




笑って誤魔化したわたしは、そのまま雨音の隣に腰を下ろした。





「何読んでんの?」




相変わらず片手に握られた文庫本に、わたしは視線を向けた。




「あっ、これ」




よく見れば、今話題の恋愛小説だ。




意外な趣味に思わず声をあげたわたしに、




「……陽光が貸してくれたんだ」




こう言って雨音が表情を緩めた。
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