日だまりの雨
隣で声をあげて笑うわたしに、




「日咲、笑いすぎ……」




雨音は恥ずかしそうに俯いてる。




「ごめんごめんっ。意外だったから、つい」




雨音の方を向いてペコリと頭を下げれば、




雨音は、柔らかい顔でこっちを見ていた。




「……日咲の笑ってる顔、好だよ。俺」




不意打ちで言われた“好き”で、




耳まで一気に赤くなっていくのがわかる……。





「な、何言ってるのっ。イキナリ……」




さっきとは形勢逆転。



今度はわたしが、恥ずかしくて俯いてる。




そんなわたしに構わず、




「お日さまみたいに咲(ワラ)う」




雨音は持っていた文庫本のカバーを外し、


『日咲』



何の躊躇いもなく、ペンでわたしの名前を書いた。





「……名前とおんなじ。明るいお日さまの笑顔」




眼鏡の隙間から見える瞳が、優しかった……。





名前のことなんて、真剣に考えたことなかった。




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