日だまりの雨
「キミが日咲ちゃん?」
いつもの昼休み。
雨音が居るであろう裏庭に向かえば、予想外の人が居て、
わたしは思わず言葉を失った。
「槙原 陽光っ。一応、雨音のお兄ちゃんだから。よろしくっ」
ずっと憧れていた笑顔が今、わたしに向けられている。
それだけで、胸が一気に高鳴った。
「文庫に名前が書いてあったからさ、雨音問いつめたら付き合ってるって」
うれしそうに笑う陽光くんの隣で、
恥ずかしそうに俯いてる雨音。
なんだか胸がズキッと痛む。
ホントはアナタが好き。
伝えられなかった言葉が、唇から零れそうになった……。
「うんっ。実はね」
それを口にしてしまったらきっと、
取り返しがつかなくなる。
わたしに向けられている陽光くんの笑顔も、
雨音の照れたような困った表情も……。