日だまりの雨
わたしの答えを聞いた雨音は、そのまましばらく黙り込んでしまった。




とっさに取り繕ったのがバレたのか。



途切れた雨音の声の続きをじっと待つわたしの耳に、




「……そんな顔してるのに?」





不意に聞こえた声で、わたしは慌てて窓ガラスを開けた。




昼間より冷たく新鮮な空気が部屋の中に流れ込むのと同時に、



「雨音っ!?」



家の下で、携帯片手にこちらを見上げる素顔の雨音が目に入った。




窓も閉めずに玄関まで一気に飛び出した視界に、



「日咲っ」



いつもみたいに柔らかく笑う雨音の笑顔が、一番に飛び込んで来た。




「どうしたのっ!?」



切らした息もそのままに、驚いた顔で雨音を見上げる。




心配そうにわたしの背中を軽くさすってくれていた雨音が一瞬目を見開いた後、



「……日咲のメール珍しいから、何かあったのかと思って。電話したら元気無いから気になって……」




イキナリ来たりしてごめん……。




申し訳なさそうに謝る雨音に、鼻の奥がツンッと小さく痺れた。



涙が込み上げると同時に、たまらず体が雨音の胸に飛び込んでいた。
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