日だまりの雨
雨音はいつでも、自分の気持ちを丁寧に丁寧に伝えてくれていた。





それに真剣に応えてこなかったのは……他でもないわたしだ。




そしてまた逃げ出した。
雨音に向き合おうともせずに。




だから、正面から向き合って伝えなきゃ。




雨音が好きなこと。
雨音が大切で、必要なこと。





もう、カッコ悪くても良い。
雨音に拒絶されても、罵られても良い。




ドアノブを握り締め、意を決したように扉を引いた。





「雨音っ」




窓から差し込む光だけが広がる部屋で、雨音は壁にもたれて座り込んでいた。




視界に現れたわたしを、初めて出会ったときに見た能面のような表情でひたすら見つめている。





「なんで……あのまま帰らなかったの?」



「だって……」




思いがけない雨音の反応は、わたしの足を竦ませる。





「まだ同情してるの?」




そんなわたしに気付いてるかのように、雨音はどんどん追い討ちをかける。




言葉の拒絶。




竦んだ足に必死で勇気を与える。
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