契約書は婚姻届
「その、……尚一郎さんが選んだ方がいいと思います」

「うん、僕もそう思うよ」

得意げに頷く尚一郎にむっとしたが、事実だから仕方ない。

見た目は、UP!の方がいいと思う。
絶対可愛いし。

けれど、運転してみたらそれが些細なことになるほど、Golfの方が断然よかったのだ。

「色は?
グレードはどうしよう。
安全装置は全部付けた方がいいな」

尚一郎の方がうきうきと商談を始め、苦笑いでそれを見ていた朋香だが。

……ちらちらと雪也からの視線を感じでいた。

 
商談が終わり、雪也を玄関まで見送る。
尚一郎は急な電話が入ったとかで、書斎に行ってしまった。

「結婚したんだ」

「うん」
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