契約書は婚姻届
お茶の時間が終わると、庭に出る。

「ロッテ」

「ワン!」

時間的にわかっているのか、すぐにロッテが寄ってきた。

「行こうか」

「ワン!」

ロッテと並んで庭を歩く。

ボルゾイという犬種は運動好きらしく、朝は尚一郎が出勤前に一時間、散歩している。
夕方は専任の使用人の役目だ。

「ねえ、ロッテ。
私、どうしたらいいんだと思う?」

どうしたの?

とでもいうかのようにロッテが朋香の顔をのぞき込んだ。
ロッテは、朋香のいい愚痴吐き相手で相談相手だ。

「元彼に連絡して欲しいって云われちゃって。
一応、もう別れたんだし、ただの友達なんだけど……」
< 122 / 541 >

この作品をシェア

pagetop