契約書は婚姻届
ぶちぶちとボタンが飛んでいく。

怯える朋香にかまわずに、尚一郎はその首筋に唇を這わせる。

「や、やだぁ。
やめ、やめて、くだ、ひっく、くだ、さい……」

まるで幼子のように泣き出した朋香に、ぴたっと尚一郎の動きが止まった。
ゆっくりと顔を離すと、上からつらそうな顔で朋香を見下ろしてくる。

「……朋香?」

そっと頬にふれた手に、びくりと身体を震わせてしまう。
怯えて、ひっくひっくと泣き続ける朋香に尚一郎ははぁーっと大きなため息を落とすと、身体を離した。

「ごめん、朋香」

少し離れてベッド端に座り直すと、尚一郎はがっくりとうなだれた。

「ちょっとあたまに血が昇りすぎてた。
ごめんね、朋香」

こちらを窺う、泣き出しそうなその顔に、胸がずきんと痛んだ。
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