契約書は婚姻届
「この条件がのめない場合は、いままでのお話は全てなかったことに。
当初の予定通り、若園製作所さんとの契約は打ち切りということで」

「なんで私の結婚が条件なんですか!」

一番はじめに状況を理解した朋香が押部にくってかかるが、涼しい顔で笑われた。

「もう決まったことですので」

いや、なんで決まったの?
会社の大事な取り引き、そんなことで決めていいの?

「と、朋香。
落ち着け」

落ち着けと云いつつ、渇いたのどを潤そうと湯飲みを握った明夫の手は、中身がこぼれないか心配になるほど震えている。

西井はいまだに状況が把握できない、というより把握することをあたまが拒否しているのか、宙に視線を泳がせている。

そっと服を引かれた気がして下を見ると、俯いたまま有森が小さな声で呟いた。
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