契約書は婚姻届
「……CEOに贈り物をしたんだよね、このあいだは僕の妻が大変お世話になりました、って」

はぁっ、今度は朋香の口からため息が漏れる。

なんで、そんな感情を逆撫でするようなことをするんだろう。

「なにを送ったんですか」

「……ビーフジャーキー。
最高級の」

火に油を注ぐような贈り物に、頭痛がしてくる。
それでなくても歯が弱くなっている老人に、さらには高血圧を悪化させる塩気のもの。

「どうしてそんなことをするんですか!
怒らせて当然ですよ!」

「だって、このあいだの件はだいたい、CEOが悪いんじゃないか!
わざわざあんな男を探してきて!
許せるわけないだろう!」

子供のように怒っている尚一郎に頭痛はさらに酷くなった。
いい年してむくれられても困る。

「確かにあのくそじ……じゃなくてお祖父さんには腹が立ちましたけど」
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