契約書は婚姻届
「はい……?」

勧誘かなにかだろうかと訝しがりながら玄関を開けると、そこには侑岐が立っている。

「なあに?
辛気くさい家ねー」

挨拶もなしに家をけなす侑岐にむっとした。
確かに、築五十年の古い家だが、その云い様はないと思う。

「ちょっと付き合いなさいよ」

「え、あっ、ちょっと!」

侑岐は朋香の返事を待たず、停めてあった真っ赤なフェラーリに押し込むと、車を急発進させた。

「あ、危ない!」

「ほんとねー。
なんで日本って、こんなに道が狭いのかしら?」

真っ赤な唇を吊り上げて笑う侑岐に、いろいろな意味で命の危険を感じた。

信号でいちいち停まるのが気に入らないらしく、フェラーリはすぐに高速に入った。
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