契約書は婚姻届
亮平を連れてきたあと、さすがに朋香に全部まかせっきりではまずいと気づいたのか、気が向いたときは自分たちでするようにはなったが。

男ふたりで荒れ果てた家の中を想像して、朋香は気が重くなった。

「ただいまー」

「おかえりー」

晩ごはんの準備をしつつ、残っている食材でできる常備菜を作っていると、洋太が帰ってきた。

「あれ、親父は?」

「もう帰ってくるんじゃない?
先、お風呂入れば?」

空の弁当を受け取って流しに浸け、調理を再開する。

しばらくしてドタバタと騒がしい足音に振り返ると、洋太が腰にタオルを巻いただけで立っていた。

「姉ちゃん、シャンプーの替え、どこ?」

「あー、もー、拭いてこないからー」
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