契約書は婚姻届
「……そうなんですね」

「うん。
日本に来て、そのままの僕がいいなんて褒めてくれたのは万理奈が初めてだった。
オシベの跡取り、じゃなくてただの尚一郎としてみてくれたのも。
すぐに万理奈を好きになったし、万理奈もOKくれた。
万理奈と崇之と、三人で過ごすのは、とても幸せだったよ」

車は高速を降りるとそのまま、山道へ入っていく。

「もう着くから。
朋香を万理奈に会わせるよ」

「……はい」

さっきまで楽しそうに昔話をしていた尚一郎の顔が、急に険しくなって不安になった。
 
着いたところは山の上の病院のようだった。

受付をすませると、案内もなしに迷わず尚一郎は進んでいく。
もう何度も、来ているのかもしれない。

目的の病室と思わしき前で足を止めると、尚一郎は一度、目を閉じて大きく深呼吸をした。
再び目を開けるとコンコンコンとドアをノックする。
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