契約書は婚姻届
話を聞き終わって、このまま帰るか予定通り宿泊するか聞かれたが、気持ちを整理したくて帰ることにした。

帰りは少し休憩を入れたくらいで食事もしなかったのに、遅くに帰り着いたものの食欲は全くわかない。

「Gute Nacht(おやすみ)、朋香」

「……おやすみなさい」

今日は自分の部屋で、ひとりで寝る。
とにかくひとりになりたかった。

ばふんとベッドに寝ころぶと、今日一日のことがぐるぐると回る。

昨日、尚恭に聞いた話もかなりショックだったが、今日、尚一郎の口から語られた話はそれ以上に衝撃的だった。
 
それは尚一郎と万理奈が付き合っていたからか、それとも万理奈の親の、会社のせいなのかわからない。
もしかしたら、両方ということも考えられるが。

 
万理奈と尚一郎の交際に、当然、達之助は激怒した。
何度も別れるように通告されたが、尚一郎は無視して万理奈と付き合い続けた。
尚一郎にとって、万理奈と過ごす時間が唯一、幸せな時間だったから。
< 303 / 541 >

この作品をシェア

pagetop