契約書は婚姻届
「お祖母さんがご用ってなんなんだろう……?」

首を捻りつつ、着物に付いたほこりを払って杉谷についていく。
連れてこられた先は茶室のようだった。

「失礼します」

「……失礼します」

入った中には自子と、着物姿の女性がふたり。
ひとりは自子とさほど年がかわらなそうで、もうひとりは朋香と同じくらいに見えた。

「朋香さん。
今日はお茶のお稽古をご一緒なさい。
こちら、私の大事な友人の柑本(こうじもと)さんとそのお孫さんの真寿美(ますみ)さん。
くれぐれも粗相の内容に」

「……はい」

年輩の女性の方が妙な目配せをすると着物の袖で口元を隠し、隣の孫へとこそこそと何事か耳打ちした。
孫の方は孫の方で、ちらちらと朋香の方を見ながら、くすくすと嘲笑している。

……なにあれ。
感じわるっ。
< 335 / 541 >

この作品をシェア

pagetop