契約書は婚姻届
「それもこれも、尚一郎の甲斐性なしがいけないのよ。
ねえ朋香。
本気で尚一郎と別れて、私のところのこない?」

心配そうに侑岐の眉根が寄り、両手をぎゅっと握られた。
そんな侑岐の気持ちは嬉しかったが。

「ありがとうございます。
でも、その、私は……尚一郎さんを愛しているので」

口に出すと、とたんに頬に熱が上がっていく。
俯いてしまった朋香に、はぁっと侑岐が呆れたようにため息を落とした。

「相変わらずラブラブなのね。
ほんとに妬けちゃうわ」

「え、えーっと……」

侑岐にぷにぷにと頬をつつかれると、ただ苦笑いしかできなかった。


鏡台の前に座り、泣いてすっかり崩れてしまった化粧を侑岐に直してもらう。

「肌、がさがさ。
髪もぱさぱさ。
顔色だってよくないし。
ちゃんとお肌の手入れ、してたの?
食事は?
睡眠だって」
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