契約書は婚姻届
確かに、鏡の中の自分は酷い顔をしていると思う。
こんな顔を見せたら、尚一郎など卒倒して医者を呼びそうだ。

「荷物、化粧品も全部、没収されちゃったので。
いつも洗いっぱなしにしてました。
石鹸も洗顔用とかないから、身体と一緒に……」

「朋香!
ほんとに酷い扱いを受けてたのね……。
そうだ、明日は一緒に、エステに行きましょう?
思いっきりリラックスして、夜はがっつり肉を食べるの!
栄養つけなきゃ」

侑岐にいい子いい子とあたまを撫でられると、なんだか嬉しい。

まるで……。

「お姉ちゃんができたみたい」

「へ?」

間抜けな顔の侑岐が、鏡の中からこちらを見ている。

「あ、えっと。
……すみません。
でも、なんだかそんな気がしたから」

「朋香のお姉ちゃんかー。
恋愛関係はいつか終わりが来るけど、それならずーっと付き合いは続くからいいかも」
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