契約書は婚姻届
読んでいた雑誌を閉じて机の上を軽く整理し、寺本に声をかける。

「お昼、行ってきます」

「いってらっしゃい」

寺本の声に送られて廊下に出ると、すでに尚恭と加賀が待っていた。

「すみません、お待たせして」

「いえ。
今日はなにを食べましょうか?
朋香さんはなにがいいですか」

うきうきと楽しそうに笑いながら尚恭は、エレベーターに向かって歩き出した。



今日、お昼につれてこられたのは近くの蕎麦屋だった。
なんでも、昼限定の親子丼があるらしい。

はじめは普通にカウンターに案内されかけたが、尚恭に気付いた店主が慌てて個室へと案内させた。
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