契約書は婚姻届
最初は啄むように感触を楽しんでいたが、そのうちに深く交わった。
どちらからともなく求め合い、室内には甘い吐息が満ちていく。

「朋香……」

熱に浮かされた尚一郎の瞳が朋香を見つめる。

そっと頬にふれ、了承だと自分から再び唇を重ねようとした瞬間。

ぐるるるるーっ、響き渡る、自分の腹の音に、違う意味で顔が熱くなった。

「昨日は夕食が早かったからね。
着替えて近くのカフェに朝食を取りに行こう」

……くすくすと笑う尚一郎に、思わず枕を投げつけた朋香だった。
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