契約書は婚姻届
準備が終わり、待ち合わせにしているというロビーに降りると、タキシードの尚一郎が待っていた。

「朋香、Su……いたっ」

「はいはい、せっかくきれいにセットした髪が乱れちゃうから抱きつかないで」

「酷い……」

カーテに軽くあしらわれ、ふて腐れてしまった尚一郎に苦笑いが漏れる。

「凄くきれいだよ、朋香」

そっと頬にふれた、尚一郎の唇が朋香の唇にふれ、みるみるうちに顔に熱が上がっていく。

「しょ、尚一郎さんも、格好いい……です」

光沢のあるグレーのタキシードに身を包む尚一郎は、朋香の目からはまるで王子様のように見えた。
おかげで、目のやり場に困ってしまう。

「ところで。
これはいったい、どういうことなんですか?」

すてきな尚一郎にドキドキとしていた朋香だが、改めてカーテに向き直った尚一郎に我に返った。
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