契約書は婚姻届
うっとりと笑う尚一郎に、苦笑いしかできない。

「何度も云いますけど。
まだ妊娠したって決まったわけじゃないんですよ?
それに、妊娠してたとしても生まれるのはかなり先です」

「絶対、妊娠しているよ。
そうに決まってる」

自信を持って断言する尚一郎がおかしい。
そんなに早く、子供が欲しいんだろうか。

「楽しみだな。
……本当に楽しみだ」

そっと自分のおなかを撫でる尚一郎に、朋香も妊娠していたらいいなと願っていた。


朝、目覚めると、尚一郎がじっと顔を見つめていた。

「……尚一郎、さん?」

思い詰めたような顔に、朝から不安になってくる。
朋香が目を開けたことに気付くと、尚一郎はなんでもないかのように笑った。
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