契約書は婚姻届
ゴクゴク渡一気に水を飲み干すと、ガツッと乱暴にテーブルの上にコップを叩きつける。

「と、朋香?」

「お父さんもあんな人の経営する会社と手が切れて、ある意味よかったのよ。
今日は寝る!
あとのことは明日、考える!」

「う、うん。
わかった。
……おやすみ」

「おやすみ!」

何事かとすでに部屋に引っ込んでいた洋太も顔を出したが、朋香の剣幕になにも云わずにまた引っ込んだ。

ベッドに入ったものの、なかなか眠れない。
興奮しているのもあると思う。
けれど、隣にない温もりに淋しさを感じ、慌てて打ち消した。

諦めて携帯でゲームをしながら、明日、解約に行こうなどと考える。

不意に通知がポップアップして誰かと思えば侑岐からだった。
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