契約書は婚姻届
こうなって見捨てたような尚一郎は最低だが、尚一郎を通じて知り合った侑岐は頼りになる。
しなければよかったと後悔した契約結婚だが、これだけはよかったと思える。



次の日、明夫に弁護士の件を相談した。
会社で検討したいとのことで、預ける。

携帯を解約に行く前に銀行に寄った。

実家に帰る交通費をのぞいて尚一郎の屋敷に置いてきたので、ほぼ一文無しだ。
また就職活動をしなければいけないし、あまりお金は使いたくないが、多少は手元にないと困る。

「え……?」

お金をおろし、残高を見てなにかの間違いだと思った。
額が思っていたよりも多い。
――多すぎる。

「ちょっと待って……一、十、百……億ってなに!?」

意味がわからなくて入金先を確認すると、羽山の事務所の名前になっていた。
気持ち悪くて速攻で羽山に電話をかける。
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