契約書は婚姻届
丸尾は胡散臭くても、侑岐は信用できる。

「それで今回、ご依頼の件なのですが……」

若園製作所は現在、データ偽装された製品を納入され、損害を被ったとしてオシベメディテックから賠償金を請求されている。
明夫たちとしては疑いが晴れて信用が回復すればいい、くらいに思っていたが。

「疑いが晴れたところで信用回復は難しいでしょうね。
一度大きく落ちた信用は、ちょっとやそっとじゃ元に戻りません」

「そう、ですよね……」

「そこで、なんですが」

お葬式ムードになった明夫たちに、丸尾は似つかわしくないほど明るく笑った。

「こっちから、オシベメディテックを訴えましょう」

「は?」

パン!

景気よく打たれた丸尾の手に、俯いていた皆の顔があがる。
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