契約書は婚姻届
「準備できたかい?
……うん、朋香によく似合ってる。
これなら文句ないだろう」

いつの間にか尚一郎はスーツに着替えている。

それにしても、……文句がないって?
なんか、面倒そうだな。

本邸に行く前から、朋香はうんざりしていた。


 
運転手の高橋の運転で屋敷を出る。

が、いつも尚一郎が仕事で使っているベンツではなく、アウディ。
ガレージを覗いたことがないから何台あるのか知らないが、朋香は押部家の経済力に震えた。

 
街を抜けると車は竹林に入った。

車は暫く竹林を走ると……。
竹林をしばらく……。
竹林を……。

「あのー、尚一郎さん?」
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