契約書は婚姻届
「……」

ジト目で睨むと尚一郎は笑っている。
結局また、誤魔化されてしまった。


 
部屋に戻ると夕食が準備されていた。
懐石風の料理に、昼間のことが思い出されて一瞬、たじろいだ。

「マナーなんて気にすることないよ。
第一、こういう料理でテーブルマナーなんて、おいしく食べることとよっぽど見苦しいことをしない以外に、なにかあるの?」

確かに、刺身もあればステーキもあるような料理で、正しいテーブルマナーもなにもないような気がする。

「ほら、食べよう?
昼はあんなだったし、それからサンドイッチを食べただけだろ?
お腹空いちゃったよ」

苦笑いの尚一郎に熱い顔で、黙ってその前に座った。

 
刺身に天ぷら、ステーキ。
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