君はガーディアン ―敬語男子と♪ドキドキ同居生活―
 例えば、先生から、白梅は真面目だ、とか、手がかからない、と、言われたことはあったし、母から、家の事をしてくれてありがとう、とか、助かる、と、言われた事はあったし、それはそれでうれしかったけれど……。

 征治さんの言葉は、その声の響きもあって、自分の内側にじんわりと染みこみ、ドキドキに変わっていく。

 征治さんを、もっとずっと見ていたい、と、思ってしまう。

 我ながら、身近なイケメン(?)に反応するところが単純だなあと思う。

 母が亡くなって、心細いところへ優しくされたから?

 でも、それを言ってしまうと、実は礼門の方が世間一般的にはイケメンなのではないかと思うし、母が亡くなった心細さに救われたというならば、弟の礼門の存在の方が大きいはずだ。

 自分の中に、はっきりしていないものの、弟の記憶があるのだろうか、と、思い返してみると、漠然とした記憶があるような、ないような。どうもはっきりしないけれど、血縁関係があるから、弟にはときめかないのかもしれない、と、冷静なのか理性的なのか、自分でもよくわからない。

 ……もしかして、最初のお姫様だっこだろうか。

 思い返して、征治さんの腕に支えられた感覚と、近づいた顔の距離に、一人で赤面してしまった。

 恋愛経験の無い私が、男性と同居してるとか、ちょっとハードル上がりすぎなんじゃないだろうか、と、冷静に考えてみた。

 一時たりとも気が抜けない。

 でも、ずっと一緒にいられる事は素直にうれしい。

 ああ、でも、失望させたりとか、がっかりされたり、とか。

 そもそも、征治さんが私に優しくしてくれるのは、礼門の姉であり、主筋の血縁だからなんだし、……もしかしたら、恋人だっているのかもしれない。

 ぐるぐると思考のループにはまりそうになっていると、目的地に到着したのか、車が停止した。
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