君はガーディアン ―敬語男子と♪ドキドキ同居生活―
 裾を戻したかったけれど、征治さんがスカートの裾を持っていて、ひっぱるとスカートが裂けてしまいそうでできない。

 痛みよりも、驚きよりも、足を見られる恥ずかしさに、私の顔は熱を持つ。耳も熱い。多分、今、私の顔は茹でたタコのように赤く染まっているはずだ。

「す、すみません、お願いですから、スカート……離して、くだ、さい」

 私が泣きそうになりながら訴えると、征治さんも我に帰ったのか、

「ああああっ! 申し訳ありません、俺は、なんてことをッ!」

 そう言って、離したシャワーヘッドから流れた水が、私と征治さんに降り注いだ。 
 二人揃ってずぶ濡れになると、私の顔の熱も若干ひいて、少しだけ落ち着けた。
 足の痛みはほとんど無い。おそらく声に出して驚いたものの、ほとんど足にはかかっていなかったみたいだ。

 そうなったら、二人揃って水をかぶっているのが、妙におかしくて、私は声を出して笑ってしまった。なんか、もう、色々情緒不安定で、わけがわからなくなっていた。

「素子さん、大丈夫ですか?」

「はい、痛みは、もう、全然ないです、すみません、なんだか私、取り乱しちゃって」

 征治さんに向き直ると、征治さんは目を逸らしながら、赤面していた。まさか、と、自分を見直すと、ブラウスが水で透けて下着がうっすらと見えている上に、スカートは太ももまでひきあげられて、あまり考えたくないけれど、もしかするとパンツも見られたかもしれず、さらに、引き裂かれたストッキングはもう、何と言うか、とても無残な有様だった。

「わっ、私はっ、もう、大丈夫なんで! 後は……一人でなんとかします」

 恥ずかしさで征治さんと目を合わせずに、私が言うと、征治さんも、

「す、すみません、俺……いや、私も、ちょっと、あわててました。……ごめんなさい」

 そう言って、征治さんはもうひとつのバスルームへ行くと言って、出て行ってくれた。

 ずぶ濡れになった私は、開き直ってシャワーを浴びる事にして、濡れた服を脱いでシャワーを浴びたのだけれど……。

 着替えを、持ってきていない事に、後になって気がついた。
 幸い、バスタオルはあるので、バスルームのすぐ隣の自分の部屋までくらいであれば、ちょっと出て行けそう……な、気がする。

 ガチャリ

 ……悪運というのは、続くものだ。
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