君はガーディアン ―敬語男子と♪ドキドキ同居生活―
 細かい素性などは、インターネットではほとんど拾えなかったが、父には息子がいた。
 私よりひとつ年下。……異母兄弟、という事になるのか。
 ……ひとまず、自分が、完全に天涯孤独ではない、という事実は、母を失った私の喪失感を少しばかり慰めてくれた。

『ピンポーン♪』

 若干音が割れてしまうチャイムの音がして、私は玄関ドアへ急ぎ、覗き窓から様子を見た。そこには、二人の男性が立っていた。

 見覚えの無い二人は、私の知り合いでは無い。母の縁者だろうか、と、チェーンをかけたまま、ドアをわずかに開けた。

「はい、どなたでしょう」

 私が尋ねると、二人のうち一人、背の低い方(といっても、私よりは少し高い)が、にっこりと笑って言った。

「はじめまして、姉さん、僕、弟です、弟の、黄金川礼門(こがねがわれもん)です」

 先ほどまで、パソコンで調べていた相手、恐らくは、父の息子。しかし、インターネット上には画像が無かったので、本人かどうかの確認ができない。

「えーっと、身分証を見せていただいてもいいですか?」

 私は初めて会った、弟とだと名乗る人物に、身分証の提出を求めた。
 ……本人確認は大切だ、と、思う。
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