【長編】戦(イクサ)林羅山篇
堀の埋め立て
 和睦が成立した翌日から秀忠は
大坂城の外堀の埋め立てを命じ
た。
 徳川勢が真田に苦しめられた曲
輪が真っ先に破壊され、その廃
材、土塁が外堀に投げ込まれた。
 外堀は短期間に埋め立てられ、
次に三の丸を取り壊した徳川勢は
豊臣勢が取り壊す取り決めだった
二の丸を取り壊し始めた。
 これに大野治長が抗議したが、
あっという間に取り壊され内堀も
埋め立てられた。
 家康は取り壊しの途中で京、二
条城に入り、しばらくして駿府に
戻った。
 秀忠は全てが完了したことを見
届けると京、伏見城に留まった。
 道春は京の自宅に父、信時と
弟、東舟を迎え、新年を過ごし
た。
 大坂城は本丸だけとなり、庶民
の家よりも無防備の状態となっ
た。
 城内で秀頼は不安にさいなまれ
落ち込んだが、淀は更に自信を深
めていた。
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