大剣のエーテル
(この人、やっぱりずるい…!)
じとっ、と負の視線を送っていると、ルタは何かに気がついたように視線を落とした。
「あんた、腕も怪我してる。」
「え?」
その言葉に、はっ!として右腕を見ると、軽い擦り傷が出来ていた。
背中の痛みに気を取られて、小さな傷に気がつかなかったらしい。
ルタは、わずかにまつげを伏せ、はぁ、と息を吐きながら口を開いた。
「しょうがないな。腕の傷用の塗り薬と包帯もあげるから、今夜寝る前に自分で治療して。それくらいなら、俺がやらなくても出来るでしょ。」
てきぱきと救急セットを手渡したルタに「ありがとう…」と伝えると、彼は一仕事終えたように髪をかき上げ、言葉を続けた。
「仕方ないから、治療費はランバートにつけとくよ。」
「ランバートに?」
「そりゃそうでしょ。あんたは、ランバートの“お気に入り”なんだし。ノアの為なら、あいつはホイホイ金払うでしょ。」
「“お気に入り”…?…!」
目を見開くと、ルタは怪訝そうな顔をした。
「知らなかったの?あんた、そうとう気に入られてると思うよ。エーテル以外で、ランバートが自ら声をかけて自分の近くに人を置くなんて初めてだし。」