大剣のエーテル
**
「さっ!着いたよ、ノアちゃん。人が多いから、はぐれないでね。」
汽笛の音で停車した駅は、赤いレンガで造られたクラシカルな場所だった。
今まで見てきた町とはまた違う、都会的な雰囲気が漂っている。
素朴な“町”ではなく、いかにも“街”という感じだ。
物珍しさにきょろきょろしていると、私の視界に大きな建物が映った。
シンプルなデザインで街の中心部にそびえ立つその建物は、異様なほどの存在感を放っている。
「ランバート。あの建物は、何?」
私の声に「ん…?」と、かがんで耳を傾けたランバートは、私の視線の先を見て答える。
「あぁ。あれは、“レガリア”の本部だよ。エーテルとは別の治安維持組織でね。いわば“民間警察”
って感じかな。」
(“レガリア”、かぁ…。本部はあんなに大きな建物なんだ?)
感心して眺めていると、駅の掲示板にたくさんの張り紙がしてあるのが目にとまった。
“wanted 爆弾魔 逃走中!”
(“爆弾魔”?なんだか物騒だな…。)
つい、歩きながら張り紙に見入っていると、イヴァンさんが、くいっ、と私の腕を引いた。
「おい、前見て歩け。転ぶぞ。」
(!あ、危ない危ない…。気をつけなきゃ。)
駅の人混みを抜けて、私たちは街へと足を踏み入れた。
そこは、西洋風のランプが連なるレンガ通りで、綺麗な街並みに心が躍る。