大剣のエーテル

イヴァンさんが街の地図を広げながら口を開いた。


「ロルフが飛ばされた支局は、この通りの先にある広場の近くみたいだな。仕方ない。迎えに行こう。」


気だるそうなイヴァンさんに、ランバートとルタが続ける。


「エーテルの支局は国家公務員じゃないと入れないから、ノアちゃんは広場でお留守番だね。」


「ノア。好奇心だけでウロウロしたりしないでよ。ここは見知らぬ土地なんだから、迷子になられたら敵わない。」


彼らの言葉に「う、うん…。」とぎこちなく答えると、やがて目の前に大きな噴水が現れた。

たくさんの露店が出ている様子の広場は、ルタの町の市場とは違った賑わいをみせている。


(わぁ…!すごい…っ!食べ物も雑貨もたくさんある…!)


目を輝かせていると、ランバートが、ぽん、と私の頭に手を置いた。


「いい子で待っててね。悪い人に付いてっちゃだめだよ?」


「…っ!」


どくん、と胸が音を立てた。

穏やかな声に心がざわめく。


(私ってば、この前から変だ。ランバートに触られると、落ち着かない…。)


こくん、と頷くと、ルタが眉を寄せて口を開いた。


「ノアには警戒心ってもんが欠けてるから、そんな助言しても無駄だと思うよ。現にランバートについてきてるし。」


「…人聞き悪いなあ。俺は悪い人じゃないでしょ?」


< 127 / 369 >

この作品をシェア

pagetop