大剣のエーテル

(“ランバートにエーテルを追放された”…?“幻夢石に手を出して”…?)


予想を超える答えに、動揺が隠しきれない。

その時、古本市でのレガリアの隊員たちの会話が頭の中に蘇った。


“エーテルの団長は、実力こそあるが、非情で傲慢な男らしいし。…そんな奴の下にはつきたくないぜ。”


“あぁ、“2年前の事件”だろ?自分の足を引っ張った仲間の魔法陣を砕いて、エーテルを追放したっていう…”


(レガリア達が言っていたのは、この事件のこと…?)


しぃん、としたロビーには、私とロルフの他には誰もいない。

ただ、静かな空間に時計の針が時を刻む音だけが響いている。


「…カイさんは、どうして幻夢石なんかに手を出したの?エーテルに選抜されるくらいなんだから、相当な実力の魔法使いだったんでしょう?」


すると、私の問いにロルフは落ち着いた声で答えた。


「確かに…カイは、上級の魔法使いだった。俺たち他の団員に、引けをとらないくらいにな。」


「だったら、どうして…」


「カイは“魔法が使えなくなった”んだ。2年前の事件以来、戦う力を失った。」


「!…事故でも起こったの?それか、一派との戦いで魔力を奪われたとか…?」


「いや、そうじゃねぇ…」


ロルフは一呼吸置いた後、私を見上げた。

その薔薇色の瞳はどこか悲しげで、視線を逸らせない。

数秒の沈黙の後。

彼は、はっきりとした口調で信じられない言葉を口にした。


「カイが魔力を失ったのは事故でも、一派のせいでもねぇ。…ランバートがカイの魔法陣を砕いたんだ。」


(!!)


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