大剣のエーテル
体に雷が落ちたような衝撃が走った。
ロルフの語った過去が受けとめきれない。
(カイさんの魔法陣を砕いた…?あの、誰よりも優しいランバートが…?)
私は、何も言葉を発せずにただその場に立ち尽くしていた。
そんな私にロルフはわずかに目を細めて、ソファの隣をぽんぽん、と叩く。
「座りな。俺たちの…、いや。ランバートの過去を教えてやる。」
ドクン、と心臓が音を立てた。
今から語られる話は、ずっと私が避けてきた話題。
そして、いつもランバートやイヴァンさんがはぐらかしてきた彼らの過去だ。
踏み込んではいけない領域に片足を突っ込んでしまった感覚がする。
もう、後戻りは出来なかった。
私がおずおずとソファに腰掛けると、ロルフは、静かに話し出した。
「…あれは、2年前…。一派の集団が、王の城に攻め込んで来たんだ。当時は時刻が深夜だった上に、カイ以外のエーテルが全員非番でな。プライベートを過ごしてた各々が、王からの連絡を受けて緊急召集されたんだ。」
その時の様子が目に浮かぶ。
切迫した状況だったのだろう。
「一派は、幹部らが総出陣で玉座に乗り込んで来たんだ。王達はカイの事前の指示で避難をしたため難を免れたが、1人で敵を相手していたカイが総攻撃を受けてな。俺たちエーテルが城に到着したのは、カイが一派に捕らえられた後だった。」
(…!)