大剣のエーテル

(…す、すごい…、だからルタはあんなに嫌がってたんだ。)


クールなルタが、今まで見たこともないくらいに翻弄されている。

すると、ひとしきりルタを構い倒したお婆さんが、くるり、とこちらを向いた。

ギロリ、と品定めをするような視線が飛んでくる。


「…して、あんたらはなんだ?ずいぶん大きな魔力を感じるが?」


(!)


お婆さんの言葉に、ルタがエーテル達を指して口を開いた。


「この人たちはエーテルの仲間だよ。」


私たちはぺこりとお辞儀をしながらそれぞれ自己紹介をしていく。


「初めまして。俺はランバートという者です。エーテルの団長を務めています。」


「ほぉ…、あんたが団長か!噂には聞いていたが、想像よりも草食系じゃの。いつもルタが世話になっているな。」


にこやかに挨拶を交わす2人に「世話をしてんのはこっちなんだけど」と視線を向けるルタ。

続いて、イヴァンさんが口を開く。


「俺はイヴァンです。ルタとはエーテルの同僚で…」


「ありゃ〜!あんた、私の死んだ夫の若い頃にそっくりじゃ!!ちょっと、もっとこっちに来んか!」


イヴァンさんの言葉を遮って目を輝かせるお婆さん。

スーツの彼は熱心なラブコールに若干引いている様子だ。


(す、すごい強烈なお婆さんだな…)


そして、イヴァンさんがラブコールから解放され、ロルフの自己紹介の番になる。


「どーも、俺はロルフ……」


と、その時。

ロルフの言葉を遮ってお婆さんがカッ!と杖を突きつけた。


「あんたのフェロモンは子らに悪影響じゃ!外で汚らわしい色気を捨ててこい!」


「いきなりかよ?!理不尽すぎるだろ、バァさん!」


ロルフの返答に、お婆さんは「誰がバァさんだ!私のことは“ババ様”と呼びな、小僧!」と手元の車椅子のスイッチを押す。

その瞬間、車椅子の背もたれから機械の鉄拳がロルフへ飛んだ。


(っ!!)


まばたきの間に扉の外へと放り出されるロルフの体。


(こ、怖すぎ…!)


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