大剣のエーテル
数分前の団長の言葉を引用し、エーテルを責めていくカイ。
彼は容赦なく、エーテルらの見えていた勝利への光が、実は捕食する餌をおびき寄せる為の蛍の光だったことを告げる。
膨大な魔力を消費した攻撃が、“無駄撃ち”だったことを知ったイヴァンは険しい顔で崩れ去った洋館を睨んだ。
ランバートは、動揺したように呟く。
「…なぜ、俺たちはこんな誤解を…?そもそも、このアジトに幻夢石があると知ったのは、そんな昔の情報じゃなかったはずなのに…」
記憶を遡り、誤解のきっかけを探すエーテル達。
その時、いち早く答えにたどり着いた様子のルタが、ばっ!と俺を見た。
(やっと気が付いたか。…お前達が、“俺の一言”に踊らされていたことを。)
始まりは、人斬り事件の起こった南部の町で、俺がルタの診療所を荒らした時。
“…あんたら、一派の殲滅のために地方を回っているらしいが、そんなことをしても無意味だ。俺たちの離島のアジトには、一派があらゆる場所から集めた“幻夢石”が山のようにあるからな。”
その時、ルタが目を見開いて声を上げた。
「まさかあの時のフォーゼルのセリフは、“嘘の情報をエーテルに流すための策略”だったのか…?!」
俺は、黙ってエーテル共を見つめた。
それが“肯定”を表していることを彼らはすぐに悟ったらしい。
…真実は簡単だ。
俺はあの日、“診療所を荒らし、エーテルの団員を始末する”という任務に失敗して逃げ帰ったわけじゃない。
“エーテルをこの離島におびき寄せるため、嘘の情報を流す”という任務に成功して帰還したんだ。