大剣のエーテル

そわそわしていると、ランバートが私に声をかけた。


「ディナーまではまだ時間がたっぷりあるから、好きなお店回り放題だよ。ノアちゃん、みたいとこある?」


私は「うーん…」と考え込みながらぎこちなく答えた。


「こんな賑やかな街を歩いた経験は少ないから、どういうお店があるのか分からないの。そもそも、“お店”にゆっくり寄ったこともないし…」


生まれてから16年も経っているが、私は普通の女の子としての生活に慣れていない。

クリスマスに出歩くなんてことも初めての経験だ。

すると、ランバートは「よし!」と笑って近くの店を指して言った。


「じゃあ、行き当たりばったりで面白そうなお店に入ろう。あの雑貨屋さんとか気にならない?」


カラフルなお花の装飾が施されたそのお店は、見たこともない品物で溢れている。


「わぁ!綺麗…!」


「うん。じゃあ、行こっ。」


ランバートは、私を気遣いながらも自然にエスコートをしていく。


(幸せだなぁ。)


まだデートの開始序盤にも関わらず、もう満足感で満たされた。

私がふにゃふにゃと笑うせいなのか、ランバートもつられて甘い笑みを見せる。

いつもとは違う、私にしか見せない顔だ。


「…お、このマグカップに描いてあるの、イヴァンにそっくり。買ってってあげよっかな。」


「ふふっ!それナマケモノだよ!怒られるよ…!」


2人並んで買い物をするのは初めてだ。

こんなに楽しいものだとは思わなかった。

店内にいる人たちもみんな笑顔で、やはり恋人同士ばかりである。

私は、ふと“そういえば”と思いランバートに尋ねた。


「今日、ほかのエーテルのみんなもお休みなの?」


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