大剣のエーテル

(…す、すごい…!あの素早くて重い剣撃を全部かわしてる…!)


ランバートは、大男の動きを見切ったように狭い部屋の中で躍動した。


「ランバート…!あなた、ちゃんと走ったり飛んだり出来たのね…!」


「ノアちゃんは俺のことなんだと思ってたの!」


私がつい口に出した言葉に、ランバートがゆるく怒った。

大男は、余裕を見せるランバートに次第にイライラして眉を吊り上げる。

私は、ランバートが予想以上に運動神経が優れていることに感心していたが、やがて彼は防戦一方で、勝負というよりは体力比べになっていることに気がついた。

私がハラハラしつつ戦況を見守っていた、その時だった。


ブワッ…!


突然、ダーナが魔力を放出した。

ダーナが胸の前に突き出した手の先に、黒々とした魔法陣が現れる。


(!まさか、ランバートを攻撃魔法で狙うつもり…?!)


「危ない!逃げてっ!!」


ランバートが目を見開く。


(…ダメだ、もう避けきれない…!)


希望を失い、心が折れそうになった

次の瞬間だった。

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