大剣のエーテル
どくん!
彼の言葉に、その場の空気が変わった。
誰もが息を呑み、大男を凝視する。
「エーテル…?エーテルだって…?!」
さらにざわざわと話し出す町民達。
予期せぬ訪問者に、辺りが騒然とした。
「確か…噂では、エーテルは王から新たな任務を受けて団員達が国の各地に散らばったそうだけど…」
「エーテルの団長は、“大剣”を自由自在に振り回す豪腕だと聞いていたが…本当にあの男が…?!」
町民達の声が聞こえる。
いかにも死線をくぐり抜けてきたようなガタイの良い大男には、エーテルの団長と言われても納得の威厳と風格があった。
(あんな大剣を軽々と掲げられちゃあ、疑いようがないよ。)
エーテルの団長は、その強さでも有名であったが、魔法使いにも関わらず武器を持っているという点でも他の団員とは一線を画すほど注目の的であった。
普通の魔法使いは喧嘩の際も魔法で戦うため、武器を持つ必要はない。
大剣を持っている辺り、普通の魔法使いではないのだろう。彼がエーテルの団長であることは本当らしい。
彼を囲む人々も同じことを考えているようで、大男の素性を疑う者は一人としていなかった。