この愛、スイーツ以上
顔は知っていてもこうして顔を合わせるのは初めて。緩んでいた顔がまた引き締まる。社長夫人が副社長の隣に並んだ時、私は頭を下げて用意していた挨拶をする。


「はじめまして、吉川由梨と申します。今日はお招きいただきありがとうございます。よろしくお願い致します」

「はじめまして、涼太の母の真由美です。こちらこそわざわざ来てもらってごめんなさいね。今日はお会いできて嬉しいわ。よろしくね」


社長夫人の真由美さんは綺麗な人で、笑顔が副社長によく似ていた。

「名前で呼んでね」と言われ、どう呼ぶのがいいのか悩んでしまっていたから『真由美さん』と呼ばせてもらうことにした。

ドレスは既に用意されてはいるが、ブティックの方がまだ来ていないのでまずはリビングルームに案内される。


「ここがリビングですか……すごいですね」


唖然とする私に真由美さんが頬笑む。


「この広さには驚くわよね。私も初めてここに来たときはビックリしたもの」


この家は明治時代に建築されたもので、築年数は130年くらいだそう。
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