この愛、スイーツ以上
口をモゴモゴさせて「え?」と声にならない返事をすると同じようにブドウを口に入れた彼が頬笑む。

この笑顔に私は弱い。

彼の隣に自分はふさわしくないと実感したばかりだというのに、ときめかされてしまう。

こんなふうにスイーツを食べるだけの仲で満足できなくなってしまう。いつでも彼の隣にいたくなる。

いつでも彼の笑顔を見たくなる。私だけを見つめていて欲しくなる。


そんなことを望んではダメ。

私の思いはあっちへこっちへと揺れ動く。

単純に彼を想うことが出来ないのを分かっているのに、裏腹に溢れ出てきそうな気持ちを必死で止める。

ダメ、ダメなんだから。

実らない恋をしたら辛くなるだけなんだから。


私の心の葛藤を知らない副社長は口を動かしながら、二匹を様子を眺めている。

それからまた私の心を大きく揺る動かすことを言った。


「由梨はウェディングドレスもきっと似合うだろうね」

「えっ?」


二匹から視線を私に戻した副社長の目は真剣だった。だから、逸らすことなく私も見つめた。
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