この愛、スイーツ以上
真っ直ぐな求愛
昼休みに窓から見た空は青空だったのに、いつの間(か灰色の雲が広がっていた。所々のすき間から青い部分もまだ見えてはいるが全部が灰色になるのも時間の問題だろう。

女心と秋の空……ふと移ろいやすい秋の空に自分の心を重ねる。

私の心も定まらず、困惑している。


定まらなくても時間は流れていって、明日はパーティーの日となっていた。

安田さんは今日から復帰していて、朝顔を合わせただけで副社長と共に取引先へと出掛けて言った。

今日はお弁当を一つしか作っていない。久しぶりに一人で食べる昼休みは寂しかった。

寂しいから余計なことまで考えてしまっていたし。

ドレスを選んだ日、「ウェディングドレスが似合いそう」と言った副社長はその後まだなにか言いたそうだったけど、見つめあった時に二匹が戻ってきたので何も言わなかった。

聞きたい気持ちはあったけど、聞いてはいけないようにも思えたから、中断してよかったのかも。


「んー」と誰もいない部屋で腕を大きく伸ばした。

明日のパーティーが不安だな。大丈夫だろうか。
< 129 / 207 >

この作品をシェア

pagetop