この愛、スイーツ以上
振ったイコール嫌いという解釈になっていた。そう考えるのが普通だろうけど。

私は首を横に振る。


「嫌いではないです。副社長として尊敬していますし、副社長としては好きです」

「なるほど。副社長としてはなんですね。副社長、残念ですね」

「おい、勝手に残念とか言うなよ。俺はまだ諦めていないんだから」

「諦めの悪い男は嫌われますよ。嫌われる前に潔く諦めるのがよいかと思われます」


今度は珍しく副社長が焦っていたが、安田さんは真顔で返していた。

そうよ、諦めてくれればいい。そうすれば私の心も振り回されることもない。


「嫌われる? 吉川さん、俺を嫌いになる?」

「いえ、多分嫌いには……」

「ダメですよ。吉川さん、気を持たせるようなことを言ってはいけません。諦めの悪い人は冷たく突き放すべきです」


安田さんのアドバイスは理解できるけど、副社長に嫌いだと言えない。だって嫌いじゃないもの。

返事をしないから、安田さんは続けて話す。


「吉川さんは正直で優しい人だから、難しいとは思いますが、ここで優しくしてはお互いのためにもならないですよ」
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