この愛、スイーツ以上
「真っ赤な由梨、かわいい」

「もう困らせないでください。副社長がそういうことばかり言うから恥ずかしくなるんです」

「ははっ、ほどほどにしておくよ」


頬を膨らませた私の頭に副社長が笑って手を置いた時、ドアがノックされる。

返事をするとドアが開かれた。


「終わりましたでしょうか?」

「安田さん……」

「副社長が出ていけと目で訴えるから出ましたよ。ついでに総務部から決裁願いを受け取ってきました。はい、副社長。終わったら社長に回しますから、さっさと目を通してくださいね」

「容赦ないな」


副社長は安田さんから手渡された書類に肩をすくめる。気を利かせて出ていった安田さんは何もしないで戻らないところが彼らしい。

自分のデスクについて、安田さんをぼんやりと見ていたら、ふいにこちらを向いた安田さんと目が合う。

いけない、仕事をしなくちゃ。

私もやることがある。副社長ほど重要な業務ではないけど、指示されたデータ入力を今日までに終わらせるように言われたことを思い出して、フォルダをクリックした。
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