この愛、スイーツ以上
「一番大変なのは副社長です。将来この会社のトップになるものとしてのプレッシャーもある中で、自分の信念を曲げることなく他の社員にも認めてもらえるものを作り出しました。副社長の業務が主ですが、商品開発部の方も人任せにすることなく頑張っている姿は本当に立派です」


「ちょっと、安田さん。なんで突然そんなにも俺を持ち上げる? 気持ち悪いんだけど」


書類に目を通していた副社長は怪しげなものを見る目で安田さんを見る。

私も何の魂胆があってそんなにも副社長を褒めるのかと思ったが、副社長を持ち上げたくなる安田さんの気持ちは分かる。

なぜ私に熱く語るのかは不明だが。


この前と言っていることが全然違うから余計に疑問だ。副社長と同じく私も安田さんに疑いの目を向ける。

安田さんは決まりが悪そうな表情でこめかみ辺りを人差し指でかいた。


「この前、吉川さんに意地悪というか悩ませることを言ってしまったので反省しているんですよ。吉川さんがプロポーズの返事を保留にしたのも、今週ずっと元気がないのも私の言ったことが原因じゃないのかと思いまして」
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