この愛、スイーツ以上
ふと外を見たら、雨が降っていた。駐車場からこの店まで徒歩10分くらいの距離だった。副社長の車の中に一本傘があったらしいが、持参していない。

小降りになるまで待つためにコーヒーを追加オーダーしようとスタッフを呼ぼうとしたが、それよりも先にスタッフが来た。


「大変申し訳ありませんが、四時から貸し切り予約が入っていますので、あと15分くらいで退店をお願いします」

「分かりました」


あと15分で雨はやむだろうか。

やむどころか強くなっていたが、言われた時間になったので出るしかなかった。

私たちの前で精算していた人が傘を借りていたので、同じように借りようとした。しかし、運悪く貸し出しできる傘が終わってしまった。

スタッフの方は申し訳なさそうに謝ったが、仕方がない。どんよりとした空だったのに持参していないのが悪い。

雨はどんどん強くなっていたが、いつまでも店の前にいられない。副社長は着ていたジャケットを私の頭に被せた。


「少しは雨避けになるだろうから。さあ、走るよ」

「はい、ありがとうございます」
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